物理・数学の備忘録

物理や数学を中心に書きます

中間値の定理のおもしろい応用

中間値の定理を用いるとかなりおもしろい命題を証明できることを学んだので紹介する。その命題とは

「地球上には真裏の地点と気温が一致する地点が必ず存在する」

である。そんなことが証明できてしまうと聞いたときは驚いたが、できてしまうのである。さらに、その証明の内容は中間値の定理を知っていれば基本的に理解できる。以下にその証明を示す。

証明の方針:「中間値の定理」を使う

\underline {中間値の定理}

a,b \in \mathbb{R}, \, a \lt bとする

f:[a,b] \to \mathbb{R} \, : \,連続関数とする

(1)f(a) \leqq f(b) \, のとき

f(a) \leqq \lambda \leqq f(b) \, となる\forall \lambda \, に対しf(c)=\lambda を満たすc \in [a,b]が存在する

(2)f(b) \leqq f(a)のとき

f(b) \leqq \lambda \leqq f(a) \, となる\forall \lambda \, に対しf(c)=\lambda を満たすc \in [a,b]が存在する

\underline{証明}

赤道と[0,1]を同一視する*1

x \in [0,1] \, : \,赤道上の地点

f(x) \, : \,地点xでの気温

f:[0,1] \to \mathbb{R}は連続としてよい*2

また, f(0)=f(1)が成立

x \in [0,1]に対し

\overline{x} : 地点xの真裏の点(\overline{x}=x+\frac{1}{2} \quad or \quad x-\frac{1}{2})

を定義する

g(x)=f(x)-f(\overline{x}) \, とおく

g:[0,\frac{1}{2}] \to \mathbb{R}も連続

g(c)=0となるc \in [0,1]が存在することを示せばよい

g:[0,\frac{1}{2}] \to \mathbb{R}に対し, \underline{中間値の定理}を適用する

g(0)=f(0)-f(\frac{1}{2})

g(\frac{1}{2})=f(\frac{1}{2})-f(0)

このとき,g(0) \leqq g(\frac{1}{2}) \quad or \quad g(\frac{1}{2}) \leqq g(0)のどちらかが成立する

g(0) \leqq g(\frac{1}{2})の場合, \, g(0)=-g(\frac{1}{2})より

g(\frac{1}{2}) \geqq 0, \, g(0) \leqq 0

\therefore g(0) \leqq 0 \leqq g(\frac{1}{2})

よってg(c)=0となるc \in [0,\frac{1}{2}]が存在する

g(\frac{1}{2}) \leqq g(0)の場合でも同様に示される

(証明終)

*1:赤道を0から1までの数直線(数曲線?)とみる

*2:ちょっと移動したぐらいでは気温が急激に下がったり、上がったりすることはないから